ご案内
火葬はかつての貴族や僧に限られる。
チベット高原は標高が高く、燃料にする樹木が少ないためだ。
土葬は疫病で死んだ人のためのもので、病魔を土のなかに封じ込めるという意味がある。
水葬にされるのは、罪人と1人前でない子どもだ。
だからチベットの庶民にとっては、天葬がいちばん望ましい葬式ということになる。
輪廻転生の世界だから、天に運ばれ、天に還って、生まれ変わった来世の幸せを願うのは当然のことだろう。
招待訪問した私たち4人は、チベット最大の寺院のデプン寺を訪ね、早朝の荘厳な勤行を見たり、Kが入門したセラ寺を見学し、慧海が潜んでいたという僧院も見ることができた。
そのほかD・Rの夏の離宮であるノルブリンカ宮殿と美しい庭園、チベット大学、病院、新築のラサ飯店(ホテル)とラサ劇場、革命展覧館、農業研究所、放送局、ラサ市北西20キロに位置する地熱発電所などを訪ねた。
ここで注意しておきたいのは、ポタラ宮や他の寺々での写真撮影料のこと。
内部では一室ごとに日本円にして約2000円も要求される。
デプン寺の釈迦牟尼像の場合は、金網のなかに入れてもらうのに、約3000円もかかった。
お布施のつもりだと思うしかない。
維持費や修繕費だと思って寄進するにしても、現地の物価水準からするとちょっと高額すぎるような気もする。
20日間に及ぶ、有意義で収穫の多い招待日程を終えて、一行は帰国の途についたが、私は郊外の農家で単身、フィールドワークをすることになった。
その中流農家は日干しレンガを積み重ね、その上に壁土を塗った壁面と、トタン屋根の家で、部屋が3つと台所。
家族は夫Tさん、妻Sさん(共に50歳くらい)と子ども4人の6人家族。
チベット族のほとんどが半農半牧の生活をしているが、この家も家畜はヤクが3頭、乳牛4頭、ヒツジ6頭、ロバ2頭、ブタ3頭がいる。
畑は約6000平方メートルを持ち、ハダカムギと小麦が主な作物だが、そのほか米、ジャガイモ、白菜、大根も作っている。
ハダカムギは主食のツァンパを作る材料として重要。
まずハダカムギを妙って、石臼で粉にひき、茶にミルクとバターと塩をまぜたバター茶でダンゴ状にしたものがツァンパだ。
日本の麦こがしに似ている。
ハダカムギはチャン(濁酒)を作る材料にもなり、家畜の飼料にもする。
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